日本の科学と技術

マイケル・ファラデー(1791-1867)

マイケル・ファラデー(Michael Faraday 1791.9.22-1867.8.25)は、高校の物理で勉強する「ファラデーの電磁誘導の法則」や高校の化学で勉強する「ファラデーの電気分解の法則」でおなじみの科学者です。

 

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ファラデーが発見した電磁誘導は、電気回路のそばで磁石を動かすと、その回路に電流が発生するというもので、力学的なエネルギーが電気エネルギーに変換できるということを示した大発見です。つまりこれは発電所で電気が作られている原理そのものであり、今私たちが自由に電気を使えているのはファラデーの発見のおかげというわけです。

  1. エネルギー偉人館 偉人 File – No.7 マイケル・ファラデー 電気がある暮らしを可能にした ファラデーの発見「電磁誘導の法則」(マイ大阪ガス)

ファラデーは、普通の科学者なら一生かかってこれ一つ発見できれば十分、偉大な科学者の仲間入りというような大きな発見を一人でいくつも成し遂げとげているのが凄いところですが、科学者としてのキャリアパスはかなり異色です。

ファラデーのキャリアパス

貧しい鍛冶屋の4人の子供のうちの一人であったマイケルは小学校までしか行っておらず、14歳のときから製本所で働き始めました。製本所で科学関係の本を読み、科学に興味を持ち独学したようです。21歳のときにイギリス王立研究所の化学者ハンフリー・デービーの市民向け講演を聴いて科学者を志し、22歳になってようやく念願かなってデービーの実験助手・雑用係になったのが科学研究の道に入るきっかけで、その後、才覚を表して科学的な偉業を次々と成し遂げていったのです。このように中等教育、高等教育を受けることなく独学し、高名な化学者に手紙を書いて弟子入りし、研究の世界に飛び込んで数々の業績を挙げたその生き方は、強烈だと思います。

ファラデーの実験ノート

彼は実験ノート(実験日誌)を非常にきちんとつけていて、それが全部残っており本として出版されて誰でも読めるようになっているのも素晴らしいことです。この日記のおかげで、電流が磁場を発生するというエルステッドの発見の追試を始めたのが1821年9月3日で、逆に電気回路(コイル)を貫く磁場の変化が電流を発生させるという電磁誘導の現象を見つけたのが1831年8月29日だったということまでわかるそうです(参照:アマゾンレビュー)。ファラデーが苦労して電磁誘導の法則に辿り着くまでの10年間の思考錯誤を読者が追体験できるは素晴らしいことだと思います。

 

ろうそくの科学

ファラデーの名前は「ろうそくの科学」の著者としても広く知られていますが、一般市民向けに科学の真髄をわかりやすく伝える活動をしていたほか、科学者として社会に貢献する活動をそれ以外にも数多く行っていました。

  1. ノーベル化学賞受賞者・吉野彰、出版界に『ロウソクの科学』ブームを起こすきっかけを作った著者がその魅力を語りつくす。NHK出版 2020年10月12日 12時30分 PRTIMES 彼の生きている時代にノーベル賞があったなら、都合6回は受賞していただろうと言われるほどの19世紀を代表する化学者・物理学者です。最先端の研究を生涯続けただけでなく、科学を一般の人たち、とくに子どもたちに広く理解してもらうことに尽力した人物でもあります。‥ 吉野彰氏が『ロウソクの科学』に出合ったのは、小学校4年生の時。「子どもに対して科学のおもしろさを伝えようとしたファラデーの思惑は、私に対しては見事に成功したわけだ」と本書『読書の学校』で語っています。

 

ファラデーが1831年に発見した電磁誘導の法則は、その後、1864年にジェームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell、1831-1879)がまとめた電磁気学の根本原理マクスウェルの方程式(4つの式のセット)の一つを成しています。

ファラデーが科学者として成功した秘訣

ファラデーは、科学者としての成功の秘訣を質問されたときに、

Work, Finish, Publish.

と答えたそうです。「仕事をし、仕事を完結させ、論文発表しなさい」というわけです。

参考

  1. マイケル・ファラデー (ウィキペディア)
  2. ファラデーの電磁誘導の法則(ウィキペディア)
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