日本の科学と技術

タカタがエアバッグ欠陥隠蔽の疑い

タカタ製エアバッグ問題で米当局が全米におけるリコールを指示~タカタが欠陥を知りながら隠していた疑いも

車の衝突事故でエアバッグが開くときに金属製部品が飛び散り、それが体に当たって死亡するという事故が米フロリダ州で報告されていました。事故を起こした車のエアバッグは日本のタカタ社が製造したもので、当初はフロリダ州など高温多湿な州のみでリコールが行われていましたが、高温多湿という条件には当てはまらない地域でもタカタ社製エアバッグを装備した車による同様の事故が確認されたことから、米当局は全米規模のリコールを指示しました。タカタ社がこの米当局の指示に従わない場合には、最高41億円($35 million)の罰金を科せられる可能性があります。

リコールの対象となる可能性のある車は、トヨタ、ホンダ、マツダ、BMW,日産、三菱、スバル、クライスラー、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)の各社の特定の年式の車です(アメリカ国家道路交通安全局ウェブサイトのリコール対象車リスト)。

また、米ニューヨークタイムズは元従業員の話として、2004年にタカタ社はアメリカのヘッドクォーター(ミシガン州オーバーンヒルズ)で秘密裡(通常の勤務時間外)にエアバッグのテストを行い欠陥を認識したにもかかわらず上層部の指示でテスト結果を廃棄するなどの証拠隠滅を行い、これまで欠陥を隠していたと報道しています。

また杜撰な品質管理を暴露するビデオを入手したとしてニューヨークタイムズが、報道しています。
Takata’s Malfunctioning Airbags (BY Carrie Halperin ニューヨークタイムズビデオ Nov. 6, 2014)

参考

  1. タカタが証拠隠滅か…元従業員証言 エアバッグリコール問題、米で過熱(NewSphere 2014年11月11日):”エド・マーキー、リチャード・ブルメンソール米上院議員は7日、司法省に対し刑事捜査を開始するよう要請、また国家道路交通安全局(NHTSA)に問題のエアバッグを搭載している車両のリコールを呼び掛けるよう促した。”
  2. Takata Saw and Hid Risk in Airbags in 2004, Former Workers Say (By HIROKO TABUCHI New York Times NOV. 6, 2014): “But instead of alerting federal safety regulators to the possible danger, Takata executives discounted the results and ordered the lab technicians to delete the testing data from their computers and dispose of the airbag inflaters in the trash, they said.”
  3. タカタ製エアバッグ、リコール全米規模に 米当局指示 (日本経済新聞 2014/11/19):”タカタは「米当局の指示内容や対象となる台数など詳細を確認中」としている。タカタ問題では、ホンダやトヨタなど日本の自動車メーカーを中心に、中国を含む世界各国で1000万台超のリコールを迫られている。”
  4. 米フロリダ州でタカタとホンダに訴訟、欠陥エアバッグ死亡事故で(ロイター 2014年 11月 18日):”米フロリダ州でタカタ製エアバッグを搭載したホンダ車に乗っていた女性がエアバッグの欠陥により死亡したとして、この女性の遺族が17日、タカタとホンダに対し訴訟を起こした。”
  5. 弊社エアバッグに係るリコールについて(PDFファイル)(タカタ株式会社代表取締役会長兼CEO 高田 重久 2014 年11 月13 日)”本日、弊社の米国子会社であるTK HOLDINGS INC.(アメリカミシガン州)にて製造した運転者席側エアバッグの不具合に起因するリコールの届出を、本田技研工業株式会社様が日本等で行いました。このリコールは、本年7 月にマレーシアで起きた事故の調査の結果、運転者席側エアバッグのインフレータのうち、製造時におけるガス発生剤の吸湿管理が不適切であったものがあり、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがあることから、実施されるものと承知しております。”
  6. The U.S. government is asking for a nationwide recall of vehicles equipped with exploding airbags made by Takata (By Katie Lobosco CNN Money November 18, 2014):”It would be an expansion of a current recall which covers eight million vehicles made by 10 different automakers.” (動画 Airbag company accused of cover-up)
  7. NHTSA Demands New, Additional Details on Air Bags from Takata and 10 Auto Manufacturers as Part of Ongoing Investigation (NHTSA November 18, 2014):”The U.S. Department of Transportation’s National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA) today announced it is calling for a national recall of vehicles with certain driver’s side frontal air bags made by Takata. This decision is based on the agency’s evaluation of a recent driver’s side air bag failure in a vehicle outside the current regional recall area and its relationship to five previous driver’s side air bag ruptures, all of which are covered by existing regional recalls.”
  8. Recalls Look-up by VIN (Vehicle Identification Number)
  9. タカタ製エアバッグ事故で際立った日米の報道姿勢の違い(BY 牧野 洋 現代ビジネス 2014年10月31日) ”この死亡事故で亡くなったのは、フロリダ州オーランド在住のヒエン・トラン氏。運転中に交通事故に遭い、 今月2日に病院で死亡した。同氏の首には誰かにナイフで刺されたような切り傷があった。それを根拠に、警察は殺人事件として捜査を始めていた。死亡から1 週間後、トラン氏の遺族はホンダからリコールの通知を受け取った。同氏が乗っていたホンダアコードのエアバッグに欠陥があり、回収する必要があるという内 容だった。この結果、同氏を死に追いやったのはナイフではなく、エアバッグであるということが判明した。”
  10. タカタが直面するいばら道―エアバッグリコール(By Colum Murphy And Eric Pfanner 原文(英語)ウォールストリートジャーナル2014 年 10 月 2 日)
  11. エアバッグ世界シェア20%「タカタ」品質問題で揺らぐ世界の自動車業界…GMに続く巨大リコール、自動車市場にかつてない危機感 (産経WEST2014.8.25):”自動車部品メーカーのタカタ(本社・東京)が製造したエアバッグの不具合をめぐり、世界の自動車市場が大揺れだ。”
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