日本の科学と技術

「理研CDB解体」提言に理研CDB研究者が反論

理研CDBのグループディレクターの一人として理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の運営に関わる林茂生氏が神戸新聞の取材に答え、理研CDB解体論に反対する意見を述べました。

6月12日に公表された「研究不正再発防止のための提言書」では、STAP細胞論文捏造事件が起きた原因は理研CDBの構造的な問題であると断定されています。

STAP問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの組織としての構造的な欠陥があった

(1)このようにSTAP問題の背景には複合的な原因があるが、以上に見たとおり、これらの原因はCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。すなわち、小保方氏のRULへの採用過程においては、竹市センター長、西川副センター長(当時)、相澤副センター長(当時)を始めとする人事委員会メンバーはSTAP細胞の研究成果獲得を第一義とするあまり、客観的資料を基に本人の資質と研究内容を精査する通常の採用プロセスの手順を、悉く省略した。小保方氏がPIとして率いる研究ユニットは、国立大学法人大学院においては准教授クラスが運営する研究部門(講座)に匹敵するのであり、そのようなハイレベルの研究ユニットを運営するPIとしてのスタンダード域に達していない研究者を職権により杜撰なプロセスを以て採用した、竹市センター長をはじめとする理研CDBのトップ層の責任は極めて重いと言わざるをえない。またCDBの運営にあたるGD会議は、STAP研究の秘密保持を最優先とする方針を容認し、結果としてSTAP研究について多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われた。さらに、CDBにおいてはデータの記録・管理の実行は研究者任せであり、CDBの組織全体としての取り組みはほとんどなかった。これらSTAP問題の背景にある原因は、いずれもCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。言い換えれば、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの組織としての構造的な欠陥があり、これを背景にSTAP問題が生じた、と言わなければならない。

(2)このCDBのガバナンスについて、CDB報告書は次のとおり指摘している。
「CDBは2000年4月発足以来、竹市センター長の下、2013年3月末に2名の副センター長(GD)が退任するまで、2005年に1名のGDが交代した以外、同じGDメンバーで運営されてきた。・・・一方、この10年余の間に、運営主体を構成するメンバーは、それぞれが担当するマネージメント領域を牽引する立場となり、このことがCDBの運営における専門化、分業化をもたらし、同時に醸成された相互信頼意識が、「彼が言うことなら間違いない」、「彼に任せておけば安心」との無意識のお任せ、寄り掛かりをもたらし、又はその結果としての独善を拡大させてきた可能性がある」(CDB報告書16頁)。ほとんど同一のメンバーによる長期のガバナンスは、相互信頼意識を醸成するが、同時に馴れ合いを生む土壌となる。研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの構造的な欠陥の背景には、このようなCDBトップ層の馴れ合い関係によるガバナンスの問題があると指摘せねばならない。

研究不正再発防止のための提言書より一部転載)

参考

  1. 研究不正再発防止のための提言書 (研究不正再発防止のための改革委員会委員長 岸輝雄 平成26年6月12日)(理研ウェブサイト上のPDFリンク)
  2. 「解体提言は不当」理研再生研幹部研究員・林氏に聞く (神戸新聞2014/6/18 08:00):”…林氏は「組織運営への批判は率直に認めるが、組織全体が否定されるのは心外。誠実に科学に向き合う研究員や日本の将来のためにならない」と訴えた。…”
  3. 小保方氏の採用経緯、通常と違った 理研・林氏一問一答 (神戸新聞 2014/6/18 08:00):”…過去に不正があったかどうかや、積み上げてきた研究成果などの認識なしに、(再生研が)『不正を生む構造的欠陥があった』『解体すべき』と断言するのはさすがに不当ではないか。誠実に研究している研究者が大勢いる」…”
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