研究不正隠蔽は研究者や納税者に対する裏切り

      2018/04/28




STAP細胞の万能性を報告したNATUREのレター論文でもメインデータが捏造されていた問題に関して、理化学研究所はこの問題を正式に調査しないという決定を下しました。不正に目をつむるという、あり得ない暴挙です。

そもそも、数多くの研究不正疑惑のごく一部のみを取り上げて不正行為を働いた人間を特定し、他を不問にするというのは著しくアンフェアな裁定です。多くの人が感じていた通り、理研の行いはまさに「トカゲの尻尾切り」そのものです。

理研に勤務する研究者だけでなく、日本のサイエンスの威信を著しく傷付けたこのSTAP細胞論文捏造事件の真相をうやむやにしたまま幕引きを図るのは、あまりにもサイエンスを冒涜しています。元理研研究者が、研究不正や隠蔽は理研が育んだ「文化」だと厳しく批判していますが、まさに今回の理研の決定はこの元理研職員の告発を裏付けています。

年間800億円を超える巨額の予算で運営されている理化学研究所は、研究者だけでなく納税者に対しても今回の捏造論文投稿の真相を説明する責任があります。組織防衛に注力し、日本のサイエンスを破壊するような理研のこの行いは、日本のトップ、世界のトップを標榜するにはあまりにも無責任すぎます。不正論文を撤回するので研究不正の調査を行う必要が無いなどという馬鹿げた説明に一体誰が納得するのでしょうか?

研究予算の面で国家から破格の扱いを受けている理研は、それ相応の高い倫理観を備えた科学者によって運営されるべきです。今回のSTAP細胞捏造論文に対する理研の対応は、理研ウェブサイトで掲げられた5つの基本方針全てに関して逆を行く行動になってしまっています。

運営に関する5つの基本方針
「野依イニシアチブ」

理事長 野依 良治

  1. 見える理研
    • 一般社会での理研の存在感を高める
    • 研究者、所員は科学技術の重要性を社会に訴える
  2. 科学技術史に輝き続ける理研
    • 理研の研究精神の継承・発展
    • 研究の質を重視。「理研ブランド」:特に輝ける存在
    • 知的財産化機能を一層強化、社会・産業に貢献
  3. 研究者がやる気を出せる理研
    • 自由な発想
    • オンリーワンの問題設定
    • ひとり立ちできる研究者を輩出
  4. 世の中の役に立つ理研
    • 産業・社会との融合連携
    • 文明社会を支える科学技術
      (大学、産業にはできない部分)
  5. 文化に貢献する理研
    • 自分自身、理研の文化度向上
    • 人文・社会科学への情報発信

理事 川合 眞紀
理事 古屋 輝夫
理事 大江田 憲治
理事 坪井 裕
理事 米倉 実
監事 清水 至
監事 伊藤 健二

http://www.riken.jp/about/plan/

参考

  1. 万能細胞:STAP論文問題 新疑義は調査せず 理研「撤回の動きある」(毎日新聞 2014年05月27日):”…この論文について理研広報室は「改革委の要請より前に著者本人から論文の誤りの申告があり、撤回の動きがあるのを確認したので、調査は必要ないと判断した」としている。…”
  2. STAP細胞:論文1本撤回へ 小保方氏ら著者11人同意 (毎日新聞 2014年05月29日 02時30分):”…ある専門家は「今回の撤回同意は不正の調査逃れだと思われても仕方がない」と話した。撤回を呼び掛けた若山氏は、取材に「撤回できたとしても不正の有無は調査されるべきだ」と話した。”
  3. STAP論文新たな疑義 理研は調査せず (NHK NEWSWEB 5月26日 19時13分):”…研究の倫理問題に詳しい東京大学医科学研究所の上昌広特任教授は「論文を取り下げるかどうかと不正かどうかの調査は別の話で、常識的には考えられない対応 だ。まだ表に出ていない不正の構造が隠れている可能性もあり、再発を防ぐためにも調査する必要がある。小保方リーダー以外の著者の責任があいまいにされて しまう可能性もあり、調査しないと決めた理化学研究所の組織の在り方が問われる」と話しています。”
  4. STAP新疑義、理研調査せず…明確な説明なし (2014年05月26日 21時24分) :”…改革委の岸輝雄委員長(東京大名誉教授)は26日夜、読売新聞の取材に「個人的には調査すべきだと思っている。改革委の意見をまとめたい」と話した。”
  5. 理研について(理化学研究所ウェブサイト):平成25年度予算合計844億4300万円
  6. 理研「笹井ビル」暗雲 STAP余波、空室続出の懸念 (朝日新聞DIGITAL 2014年5月28日14時00分):”STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所がこの春神戸市に着工したビル計画が揺れている。計画を主導してきた理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹・副センター長(52)は、小保方(おぼかた)晴子・ユニットリーダー(30)とともに論文を執筆。処分されれば、計画がつまずきかねないからだ。…”

 

 


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