日本の科学と技術

ダンゴムシの交替制転向反応に触覚が関与

日本の高校生が、ダンゴムシで交替制転向反応が生ずるメカニズムに触覚が関与していることを実証する研究報告により2014年インテル国際学生科学技術フェアに入賞しました。

ダンゴムシは壁にぶつかっったときに右に曲がると、その次にまた壁にぶつかったら場合今度は左に曲がり、以降右、左、交互に曲がる傾向があり、「交替制転向反応」と呼ばれています。

【YOUTUBE動画】ダンゴムシは壁にぶつかり右に曲がると次は左に曲がる習性がある。トリビアの泉

 

参考

  1. 米の国際学生科学技術フェア、日本の高校生2人が入賞(朝日新聞DIGITAL 2014年5月17日22時31分):世界の高校生が科学研究の成果を競うインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)が米ロサンゼルスで開かれた。最終日の17日、表彰式があり、富山県立高岡高3年の林靖人(やすひと)さん(17)が動物科学部門の2等、宮城県仙台第二高3年の山中美慧(みえ)さん(17)がエネルギー・運輸部門の2等にそれぞれ選ばれた。
  2. Intel ISEF 2014 ファイナリスト研修会:Intel ISEF 2014 への出場に備え、3月27日から 3月30日までの 4 日間、国際的な舞台で勝ち抜くための論理構築やコミュニケーション力、プレゼンテーション技術の向上を図るためのファイナリスト研修会がインテル株式会社つくばオフィスと東京オフィスにて開催されました。
  3. オカダンゴムシの交替性転向反応はなぜ起こるのか? 林 靖人(富山県立髙岡高等学校2年) (つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2013) 12)(PDF リンク):本研究では、交替性転向反応が障害物と接触する触角の方向性によって最終的に決定されているという仮説をたて、これを検証した。ダンゴムシは最初の転向後、BALMによって曲がった向きと反対側へ傾くように進み、次の分岐点では、接触した触角とは逆方向に転向する。これによって結果的に交替性転向反応を示すと考えられる。
  4. 知の回廊 第56回『ダンゴムシから進化を読む』 ダンゴムシから進化を読む 陸棲等脚類はなぜ集合するのか (中央大学 YOUTUBE動画):節足動物 甲殻類 等脚目 ワラジムシ亜目 フナムシ ワラジムシ ダンゴムシ オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare) クチクラ バソトシン バソプレッシン アンギオテンシンII 抗利尿ホルモン 水分摂取
  5. ダンゴムシ迷路・娘の自由研究用(YOUTUBE動画 BGMあり)
  6. ダンゴムシの迷路
  7. ダンゴムシの意思決定 Decision-making in pill bugs The 27th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2013 (PDF link):ダンゴムシの交替性転向反応は,BALM 以外にも走触性(Hughes, 1989)や記憶(Kupfermann, 1966)など,複数の機構が並列的に作用して実現されている可能性が高く(右田・森山, 2005),これらを統合して転向方向を選択する意思決定機構の存在が予想される.著者らは,ダンゴムシ個体にT字路を連続して遭遇させた実験(Moriyama, 1999)でしばしば観察された,転向方向の変更(図1)は,ダンゴムシの意思決定が顕著に反映された現象なのではないかと考えている.転向方向の変更は,個体がT字路において転向した後,次のT字路へ達するまでに停止し,後進で直前のT字路へ引き返し,前回の転向とは逆の方向へ転向することで達成される(図1).後進を含むこの一連の行動はBLAMでは説明できないため,転向方向の変更は別の機構の働きによって現れると考えられる.
  8. 川合隆嗣 無脊椎動物における交替性転向反応研究の展開と問題点について  動物心理学研究 第61巻第1号 83-93 (2011)(PDFリンク):交替性転向反応(turn alternation)と呼ばれる現象がある。これは,連続する分岐点において,動物がある方向に曲がると,その次の分岐点では前とは逆の方向に高確率で曲がる傾向を指す。…この傾向は,微生物から昆虫に至るまで幅広い無脊椎動物の間で観察することができ,1950年代から数多くの実験がなされている。…しかしながら,交替性転向反応のメカニズムや制御変数に関する統一的な見解は未だに得られていない。…脚を持たない無脊椎動物におけるメカニズムまで説明できる一般性の高い仮説は,現在のところない
  9. オカダンゴムシの交替性転向反応 : 通路長・転向方向・転向回数の効果(PDFリンク 関西学院大学リポジトリ 人文論究, 60(3): 113-125 2010-12-10):少なくともワラジムシ目の動物において現在最も有力な仮説とされているのは,Hughes(1985)のBALM(bilaterally asymmetrical leg movements)仮説である。この仮説では,反応が交替性に現れる原因を,左右の脚の運動量差を均一にするメカニズムが生体に働くためであるとしている。例えば,ある分岐点で右に曲がると左脚を多く使用することになる。すると次には,左右の脚の運動量を均衡にしようと右脚が活動性を上げる。すなわち,左に曲がるということになる。
  10. オカダンゴムシの交替性転向反応とその逃避行動としての意味(日本応用動物昆虫学会誌 50(4), 325-330, 2006-11-25)(PDFオープンアクセスリンク):オカダンゴムシは交替性転向反応を示すことが知られている.この反応の機構として,左右の脚にかかる負荷を均等にするというBALM仮説が知られている.
  11. R. N. HUGHES. Mechanisms for turn alternation in woodlice (Poreellio Beaber): The role of bilaterally asymmetrical leg movements. Animal Learning & Behavior.1985, 13 (3), 253-260 (PDFリンク):Along with results of the other experiments, this result in particular supported an explanation for woodlouse alternation based on bilaterally asymmetrical leg movements (BALM)arising from the negotiation of forced turns. Such asymmetry is seen as biasing an animal to turn in the opposite direction to a preceding forced turn.
  12. R. N. HUGHES. TURN ALTERNATION IN WOODLICE (PORCELLIO SCABER). Anim. Behav ., 1967, 15, 282-286 (PDFリンク):As the persistence of the tendency seems to depend on time, it might be rewarding to seek a neural controlling mechanism involving the establishment of a short-term memory trace somewhere in the central nervous system (as suggested by Kuferman, 1966), or else, at a more peripherallevel, greater inhibition of neural components of the limbs adjacent to the outer wall of a maze turn i.e. the limbs that have to `walk further’ .
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