日本の科学と技術

小保方氏側が要求した再調査をしない 理化学研究所が決定

STAP論文捏造疑惑に関して小保方晴子氏の研究不正を理化学研究所の調査委員会が認定したことに対して、小保方氏の弁護団は再調査を求める申し立てを行なっていました。弁護士らは追加資料を4日付で提出したことを明らかにしていましたが、理化学研究所は再調査をしないという決定を下しました。

【STAP細胞】6再調査せず 調査委員会による記者会見 前半【2014/5/8】

【STAP細胞】7再調査せず 理化学研究所による記者会見 後半【2014/5/8】

理研の審査結果を説明する文書では、小保方氏らの申し立てに対して項目ごとに丁寧に反証を示しています。

STAP細胞論文のデータは不可解なことだらけですが、その中でもデータ捏造を決定的なものにしたのは、テラトーマ作製の図が博士論文の異なる実験結果からの流用だったという事実の発覚でした。これに関して小保方氏は画像を取り違えてしまっただけで正しい画像がある(調査書中の「画像B」)と主張していました。そこで、画像Bが真正なものかどうかが争点になるわけですが、この理研調査委員会の審査結果を読むと実験条件に関する記載が実験ノート中に全くないため、正しい実験をしたという小保方氏の主張には何の根拠もないことがわかります。

ウ 画像B の存在について
(ア)画像B について、不服申立て者は、補充書(1)において、実験ノートの75 ページ
の記述をもとに、正しいと主張する画像B の元となるテラトーマが2012 年1 月24 日に取
り出されたなどとする。
(イ)しかしながら、75 ページには日付がなく、近傍のページで日付があるのは、73 ペー
ジ(「6/28」)、76 ページ(「2/29」もしくは「2/19」(いずれか判読不能))、81 ページ(「10
月」)のみである(いずれも年の記載なし)。このように、75 ページに記載されている実験
が2012 年1 月24 日に行われたことを確認できない。また、75 ページには、このテラトー
マがどのような細胞と方法を用いて作製されたかについては記載されていない。
(ウ)不服申立て者は、実験ノートの117 ページの記述をもとに、正しいと主張する画像B
が2012 年6 月9 日に撮影された、としている(補充書(1)「第3、3」及び同「第3、
4」等)。しかし117 ページには日付がなく、「染色(Differentiation assay)(ES コロニー)」
と記載されているだけで、これがどのようなサンプルを、どのような抗体を用いて染色さ
れたのかについては記載されていない。(http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140508_1/

参考

  1. 研究論文の疑義に関する調査委員会による調査結果に対する不服申立ての審査結果について (独立行政法人理化学研究所 2014年5月8日)
  2. STAP論文 調査委と理研の会見一問一答 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月09日 03時41分):理化学研究所の調査委員会と理研が8日、東京都内で開いた記者会見の主なやりとりは以下の通り。…理研が現在行っている検証実験で、STAP細胞の存在が確認された場合には、今回の判断は変わるのか。 「調査委の判断は、STAP細胞の有無とは関係ない。ネイチャーに投稿した論文に改ざんと捏造(ねつぞう)があったということだ」…
  3. STAP論文、再調査せず 小保方氏の不正確定へ (東京新聞2014年5月7日 19時46分):新たな万能細胞とされたSTAP細胞の論文問題で、理化学研究所の調査委員会が小保方晴子氏側の不服申し立てを退け、再調査しないとの結論をまとめたことが7日、分かった。
  4. STAP論文:理研委、再調査せず 不正確定へ (毎日新聞 2014年05月07日 20時01分、最終更新 05月07日 20時50分);新たな万能細胞とされる「STAP細胞」の論文不正問題を巡り、理化学研究所の調査委員会(委員長・渡部惇弁護士)は7日、筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査をしない方針を決めた。
  5. 小保方氏の異議退ける…理研調査委、再調査せず (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月07日 14時30分):STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所の調査委員会は6日の会合で、研究不正があったとの認定は不当とする小保方晴子ユニットリーダーの不服申し立てを退け、再調査しないとの結論をまとめた。
  6. STAP問題 理研調査委 再調査せずと結論 (NHK NEWSWEB 5月7日 14時16分):STAP細胞を巡る問題で理化学研究所の調査委員会は、ねつ造などの不正はなかったとする小保方晴子研究ユニットリーダーの不服申し立てを退け、再調査は行わないとする結論をまとめました。
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