1000億円の予算がつぎ込まれるムーンショット制度のテーマ25候補が発表されました。この25個の候補からさらにテーマが絞り込まれるそうです。
ムーンショット・テーマ25候補
- 50年までにサイボーグ化技術の実現(人間拡張技術)
- 40年までに移動の完全ユビキタス化を実現
- 40年までにほぼ全ての人のほぼ全ての行為と体験をアバター経由で実現
- 35年までに高齢者のQoLを劇的改善
- 40年までに予防措置・ウエルネスが主流となる生活の実現
- 40年までに「どこでも医療アクセス」実現
- 40年までに農林水産業の完全自動化を実現
- 40年までに建設工事の完全無人化を実現
- 50年までに現在の1/100の資源ロスで現在の生活水準が維持可能な工業生産・利用の実現
- 40年までに、単位計算量当たりエネルギー消費を1/1000に
- 60年までに持続可能なエネルギー独立の達成
- 50年までに完全資源・物質循環の達成
- 50年までにフード・ロスをなくし、全ての人々に必要な食料を効率的に届ける
- 50年までに地球上からの「ゴミ」の廃絶
- 50年までに環境中立で最高水準の生活を可能とする大都市の実現
- 50年までに生物多様性を増大させる農業を地球規模で実現
- 50年までにテラ・フォーミング技術を確立
- 50年までにノーベル賞級の発見を自律的に行うAI&ロボットシステムの開発
- 50年までに生命現象をデジタルモデル化し、その制御を実現
- 50年までに人工冬眠技術を確立
- 50年までに全神経回路網とその関連組織を完全デジタルコピー/モデル化
- 50年までに汎用型量子コンピューターネットワークを実現
- 50年までに海洋・地下を網羅的・高精度に測定し可視化・監視
- 50年までに太陽系内全天体等の定常的観測網とサンプルリターン体制の構築による宇宙状況監視の実現
- 35年までに宇宙空間で稼働する高機能・多自由度ロボット・人工衛星群の開発
(参考:https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-18659.html 太字強調は当サイト)
ムーンショット制度に関する国の議論
- 第1回(平成31年3月29日) 議事次第・資料 議事要旨(PDF/300KB)
- 第2回(平成31年4月22日) 議事次第・資料 議事要旨(PDF/84KB)
グラフィックレコーディング(PDF/1,458KB) - 第3回(令和元年5月23日) 議事次第・資料 議事要旨(PDF/297KB)
グラフィックレコーディング(PDF/883KB) - 第4回(令和元年7月31日) 議事次第・資料
ウェブサイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/moonshot/index.html
ムーンショットに関わる人々
ビジョナリー会議構成員
- 北野宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長、所長
- 落合陽一 メディアアーティスト筑波大学准教授
- 尾崎マリサ優美 アーティスト(スプツニ子!) 東京大学特任准教授
- 小林喜光 (株)三菱ケミカルホールディングス取締役会長
- 西口尚宏 (一社)Japan InnovationNetwork 専務理事
- 藤井太洋 SF作家
- 江田麻季子 世界経済フォーラム日本代表
(参考 https://www8.cao.go.jp/cstp/kaisaiannai/2019/20190716beshi_.pdf)
個人的な感想
個人的には壮大な無駄遣いにしか思えないムーンショット制度。論文業績がある研究者が定職に就けずに放浪し、東大や京大の学生が大学院進学を躊躇し、日本の研究力の低下が論文数の低下となって露わになっているこの状況の改善策を打ち出すことのほうが先ではないでしょうか?ムーンショット制度は、同様の趣旨のIMPACTプロジェクトの後継のようですが、IMPACTが成果を収めたというニュースもあまり聞いていないのに、さらにそれを拡大するというのはあまりにも無責任な施策に思えます。国民の税金1000億円の正しい使い方だとは到底思えません。公表された25テーマを見ても、今後の日本人の幸せを増やしてくれそうな予感が全くしない。
助教や講師や准教授になっても任期が切れてポスドクに戻って、拾われたラボで違う研究テーマやらない限り研究者引退を余儀なくされるという今の状況をいつまで続けるんだ?1000億円を月に向かって放り投げてる場合じゃないだろ。この状況で誰が院進したい???
— 日本の科学と技術 (@scitechjp) August 20, 2019