私たちの体を外敵から守る働きである「免疫」は、自然免疫と獲得免疫の2種類に分けて考えられます。
免疫とは「病気(疫)から免れるためのしくみ」です。」 (PDF)
病原体が体内に侵入してきたときに、それらを問答無用で食べて殺してくれる頼もしい細胞を、私たちは生まれながらにして持っています。このような外敵駆除システムが「自然免疫」。その主役は、貪食作用を持つ細胞である好中球およびマクロファージです。
下の動画では、血液の中に含まれる細胞を顕微鏡で観察したもので赤血球と白血球の種類が解説されています。白血球の一種である好中球についての説明は2:49~からで、6:01~から説明がある単球(monocytes)は、血流から出た行先の組織の中でマクロファージへと分化する細胞です。
What blood looks like down the microscope
- Immune Cells (NIH)
病原体を食べて殺してくれる細胞の一つが、白血球の一種である好中球(Neutrophils)。人間の体は、外界の病原菌に対するバリアとしてまずは皮膚(上皮)が体の内部を守るために存在しているわけですが、皮膚が傷つくと外界の病原菌が内部に入り込んでくるリスクが生じます。そのため、傷口には好中球が集まってきて傷口からの病原菌の侵入を防ぎます。
下の動画では、実験的に組織を傷付けたときに(画面中央部)、好中球(赤色に標識された小さな細胞)が多数集まってきて塊を形成する様子を示しています。その後、マクロファージ(緑色に標識された細胞)も集まってきます。
以下、生体内での現象を直接見ているわけではないですが、実験的な条件下で、好中球やマクロファージが細菌を食べる様子を示した動画を紹介します。
好中球の貪食作用
下の実験の映像では、好中球(neutrophil )が細菌(bacteria)を執拗に追い回して貪食している様子が捉えられています。
Neutrophil Phagocytosis – White Blood Cell Eats Staphylococcus Aureus Bacteria
なぜ好中球が最近を追いかけまわすことができるのかというと、細菌に特有の化学物質を認識しているからです。実験により、微小なガラス管のに好中球が認識する化学物質を入れておくと、ガラス管の先を好中球が追いかけることから、それが確かめられます。
下のムービーは、ヒトの好中球がMRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を食べる瞬間を捉えた映像。
Phagocytosis of MRSA by a human neutrophil
マクロファージの貪食作用
下の動画は、マクロファージが細菌の塊を文字通り貪り食う驚愕の映像。
Bacterial phagocytosis by macrophage -マクロファージによる細菌の貪食
参考
- NHK高校講座生物基礎 第25回 免疫のシステム
- 貪食細胞[phagocytic cell](ニュートリー株式会社)貪食作用は異物を処理する最も基本的な防御機構であり、貪食作用が生体防御機構であることを初めて提唱したのはロシア生まれの生物学者メチニコフである。貪食作用を示す細胞には、好中球、マクロファージ、樹状細胞などがある。
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Antigen-presenting cell (Wikipedia)