『マレーシア大富豪の教え』(小西史彦 著)は、ビジネスパーソン向けの内容だと思いますが、高校、大学時代の実験や研究室に関するエピソードがあって、大変興味深いと思ったので紹介します。(長いストーリーの筋が分かる程度に転載し、割愛部分は… で示した)
高校の生物クラブで
あるとき、プランクトンを顕微鏡で観察してスケッチすることになりました。ところが、私はスケッチがヘタで、どう見ても実物とかけ離れている。… 「だったら顕微鏡で実物を撮影してやろう」と思い立ちました。… 当時はまだ顕微鏡撮影は一般的ではありませんでしたが、一眼レフにアダプターを取り付ければ撮影は可能。… 今のカメラのようにオートフォーカスではないので、シャッター速度や絞りなどは試行錯誤を繰り返すほかありませんでした。だから、夏休みも学校に通って、無我夢中になってデータを延々と取り続けました。徹底的に「数」をこなしたのです。そして夏休みも終わりごろようやく撮影に成功。… 学校でも大評判を呼びました。 … 顕微鏡撮影などやったこともありませんでしたが、徹底的に撮影データを取り続ければ誰でもできる。そう思って、延々とやり続けることで、誰もやったことのないことに成功したのです。未経験のチャレンジであっても、「数」をこなせば成功できることを学んだ貴重な経験でした。(p59~p61)
大学の写真部で
コンテストに応募することが決定しました。… 写真は大好きですが、正直、才能はそれほどないとわかっていました。… 多少腕が悪くても、特徴のあるアングルを確保できればチャンスがある、考えたわけです。… 夕方から明け方まで火の見櫓に陣取って写真を撮りまくりました。… 陽が沈むときや夜が明けるときには、秒単位で光の具合が変化していきます。才能のない私が、狙ってベストのシャッターチャンスをとらえられるはずがない。だから、とにかく「数」を撮ったわけです。… すると、1000枚のうちに2~3枚くらいは奇跡的に美しい写真があるのです。… なんと大学連盟コンテストで金賞を受賞。平凡な人間であっても「数」をこなせば、圧倒的な「質」を生み出すことができる。このとき、私は、この真理を実感したのです。(p61~p63)
大学の研究室で
4年生になってから研究室に入るのが普通なのに、私は3年生の夏休みから来るように指示されました。… 最初に任されたのは「洗い屋」の仕事。朝から晩まで、ひたすら機材を洗う役割です。… 「ビーカー洗いの一流になってやる」と思って、ピッカピカに磨き上げましたね。それだけではありません。ありとあらゆる雑用を頼まれました。 … まさしく「使い走り」ですが、文句ひとつ言わずにこなす毎日でした。すると、だんだん頼みごとが変わってきました。「ちょっとメシ食べてくるから、この実験見ておいてくれ」 … 「この実験は一晩中やる必要があるが、大事な用事があるから、小西、やっといてくれ」 … 3年生の夏休み中に研究に着手できるのは、異例中の異例。… 実験の仕方からレポートの書き方まで手取り足取り教えてもらうこともできました。 … これはどの社会でも通用することです。要するに、「先輩にかわいがられなければしょうがない」ということです。そのためには、「下積み」「下働き」は非常に有効なのです。どんな頼み事でも、イヤな顔ひとつせずに笑顔でやる。しかも、頼まれた以上の成果をお返しするつもりでやる。すると、さらに頼まれます。そうやって頼まれたことを全部こなすうちに、信頼されるようになる。かわいがってもらえるようになる。そして、自然とチャンスが舞い込んでくるのです。これは、世界中どんな場所でも変わらない真理です。間違っていけないのは、先輩に媚びる必要は一切ない、ということです。(p69~p71)
参考
- 小西史彦 マレーシア大富豪の教え ダイヤモンド社 2017年4月5日発行
- マレーシア大富豪の教え DIAMOND online 第1回2017.4.10~第30回2018.2.3