日本の科学と技術

製薬会社から医師らへ4700億円超(2012年度)

読売新聞(2013年10月22日07時48分)によると、製薬業界から2012年度に国内の医師や医療機関に提供された資金の総額は4700億円を超えていたそうです。ちなみに国の医療分野の研究開発予算が1700億円で、それをはるかに上回る金額。

以下の五項目の総額が4700億円とのことですが内訳は、

  1. 共同研究などに使われる研究・開発費:2438億円。このうち、薬の承認を得るために行う治験などの臨床試験費に1840億円。
  2. 寄付金などの学術研究助成費:532億円。そのうち、指定された研究者が自由に使える奨学寄付金が340億円。研究者は指定されず大学に提供された一般寄付金が84億円。
  3. 講師謝礼や原稿料など
  4. 医師向けの講演会、説明会などの「情報提供関連費」
  5. 飲食や中元歳暮などの接遇費。

これだけお金をかけてもらっておいて、製薬会社に不利な実験データを出せる医師が果たしてどれくらいいるのでしょうか?

* 「情報提供関連費」というのは、自社製品に関する医師らへの講演会や説明会の費用。「接遇等費用」というのは、MR活動に伴う飲食や慶弔費など。

ミクスONLINE(2013/08/28 03:53)に塩野義製薬の例が掲載されています。それによると、2012年度の医師らへの支払い総額が102億8300万円。これは塩野義製薬の国内医療用医薬品売上1657億円の6.2%にあたります。内訳はというと、

  1. 研究費開発費等 総額62億6400万円(共同研究費 6億6100万円、委託研究費 7億8500万円、臨床試験費 45億6300万円)
  2. 学術研究助成費 総額12億3800万円(奨学寄附金 10億1600万円、一般寄附金 1800万円)
  3. 原稿執筆料等(講師謝金など) 総額4億8000万円
  4. 情報提供関連費(後援会費、説明会費など)総額22億0400万円
  5. 接遇等費用 9800万円

もっと詳細な内容に関しては、各製薬会社のウェブサイトをごらんください。研究資金や原稿執筆料、講師謝金などの提供を受けた大学、研究室名、病院名、個人の氏名などが開示されています。

参考ウェブサイト

  1. 武田薬品工業株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報:武田薬品「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に基づき、本Webサイトにて医療機関等への資金提供に関する情報を公開します。
  2. アステラス2012年度 医療関係者等との連携活動に伴う金銭支払い実績:「医療関係者等との連携活動に関するアステラス透明性ポリシー」に基づき、医療関係者等との連携活動に伴う金銭支払い実績を公開いたします。対象期間:2012年4月1日~2013年3月31日
  3. 第一三共株式会社 2012年度 医療機関等への支払いについて:「第一三共と医療機関等との関係の透明性に関する基本方針」に基づき、以下の支払いについて情報公開します。第一三共株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報
  4. エーザイ株式会社社 2012年度 医療機関等及び医療関係者に対する支払い 
  5. 塩野義製薬株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報:当社の「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に基づき、本Webサイトにて医療機関等への資金提供に関する情報を公開します。
  6. 中外製薬と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に係る公開情報 ― 2012年度:当該決算年度(1月1日~12月31日)における国内の医療機関・医療関係者等に対して提供した全ての資金等を、「(1)研究費開発費等」「(2)学術研究助成費」「(3)原稿執筆料等」「(4)情報提供関連費」「(5)その他の費用」の5つに分類して公開しています。
  7. 田辺三菱製薬株式会社 2012年度の医療機関等への資金提供に関する情報
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