日本の科学と技術

2017年度ノーベル化学賞はクライオ電顕に

2017年度ノーベル化学賞は、クライオ電子顕微鏡法の開発に貢献したジャック・デュボシェ(Jacques Dubochet)博士(75)、ヨアヒム・フランク(Joachim Frank)博士(77)、リチャード・ヘンダーソン博士(Richard Henderson)(72)に贈られました。

クライオ電子顕微鏡法の開発の歴史や3人のノーベル賞受賞者の貢献が解説された、ノーベル財団が公表した文書。
Scientific Background on the Nobel Prize in Chemistry 2017
THE DEVELOPMENT OF CRYO-ELECTRON MICROSCOPY (PDF nobelprize.org)

 

クライオ電顕の現状を語るリチャード・ヘンダーソン博士。

Single-Particle Electron Microscopy – Richard Henderson (14分31秒)

5:52- 単粒子クライオ電子顕微鏡法は非常に一般的になってきています。今まで全く何も知らなかった人々にも広まっています。いまどきの状況はこんな感じです。誰かがこう言います。「自分はこのたんぱく質の構造を決めようとして10年間も試みてきたんだ。精製して、分析して、結晶化しようとして努力したが実らなかった。自分の場合、結晶化してくれないのか、あるいは、結晶化しても整列が不十分で構造が決められない。」それから、こう言うのです。「クライオ電子顕微鏡を試してみるべきかもしれないな。」 そう言って、非常に微量の試料、わずか数滴をグリッドに載せ、デュボシェ法によりブロットし、急速に凍結し、電子顕微鏡にセットし、画像を取得します。いまではそれは、新しい検出器でデジタル化されています。それから構造を計算します。そうすると数日以内にはもう構造が決まってしまうのです。他の方法を試して10年間を費やした、たんぱく質の構造がです。
(上の動画のトランスクリプト http://serious-science.org/single-particle-electron-microscopy-8637

 

ノーベル賞受賞直後にインタビューに答えるヨアヒム・フランク博士。

2017 Nobel Prize in Chemistry Awarded to Prof. Joachim Frank

 

ノーベル賞受賞が決まって喜びの表情のジャック・デュボシェ博士(フランス語)。

Le Suisse Jacques Dubochet gagne le Prix Nobel de Chimie
https://youtu.be/xUyS6RT0X5E

ノーベル賞受賞直後にインタビューに答えるジャック・デュボシェ博士(フランス語)。
Le Suisse Jacques Dubochet gagne le Prix Nobel de Chimie

 

参考

  1. Press Release: The Nobel Prize in Chemistry 2017 (nobelprize.org 4 October 2017)

2017年度ノーベル化学賞報道

  1. <ノーベル化学賞>欧米の3氏に 高解像の電子顕微鏡 (毎日新聞 10/4(水) 19:00配信) スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2017年のノーベル化学賞を、生体内の分子を極低温にして高解像度で観察する「クライオ電子顕微鏡」を開発した欧米の3氏に贈ると発表した。…  受賞が決まったのはスイス・ローザンヌ大のジャック・デュボシェ名誉教授(75)、米コロンビア大のヨアヒム・フランク教授(77)、英MRC分子生物学研究所プログラムリーダーのリチャード・ヘンダーソン博士(72)。
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