日本の科学と技術

分子生物学会2013@神戸で婚活?

今年の分子生物学会年会の実行委員長は近藤滋氏。熱帯魚の縞模様を始めとして動物の形態が示すパターンがどのようにして形成されるのかを明らかにしてきた業績で世界的に有名ですが、その「かなり個性的」なパーソナリティもまた広く知れ渡っています。

その近藤滋氏が音頭を取る今年の分子生物学会年回は、従来の「学会」の概念をひっくりかえすくらいに面白いものになりそうです。細胞工学(和文レビュー雑誌)に「こんどうしげるの 生命科学の明日はどっちだ!?」という人気コラムを連載していて、 第十六回:来年の分子生物学会は嵐を呼ぶぜ!では以下のような所信表明を行っていました。

諸君、私は分生が好きだ。
諸君、私は分生が好きだ。

諸君、私は分生が大好きだ。

シンポジウムが好きだ。ワークショップが好きだ。プレナリートークが好きだ。ポスター発表が好きだ。ランチョンセミナーが好きだ。企業展示が好きだ。フォーラムが好きだ。受賞講演が好きだ。

横浜で、札幌で、京都で、博多で、神戸で、この日本で行われるあらゆる分子生物学会が大好きだ。

朝一番の講演のために、聴衆が一斉に会場に入ってくるのが好きだ。

座長の挨拶に続いて会場が暗くなり、最初のスライドが映し出されるとこころが踊る。

極めつけのデータを示したスライドで、会場に軽いため息を上げさせるのが好きだ。

ツッコミを入れてくる質問者を、更に決定的なデータでやり込めた時など、胸がすくような気持ちだった。

ずらりと並んだポスターの前を、そぞろ歩きをしながら眺めるのが好きだ。

紳士服の青木で買った新品スーツを来た大学院生が、一生懸命説明している様など感動すらおぼえる。

展示会場で、企業の係員から手渡される粗品を集める楽しさといったら、もうたまらない。

アンケート用紙を手にしたグライナーのコンパニオン部隊が、引き気味の大学院生に、何度もアタックを繰り返すのも最高だ。

マイナーなテーマのシンポを主催するのが好きだ。

頑張って動員をかけたのに、トークの切れ目ごとに人が立ち上がり去っていくのを見るのは、とてもとても悲しいものだ。

コンピートしているラボに先を越されるのが好きだ。

ひとつ前の演者に自分と同じ実験結果を話されてしまい「偶然同じ結果なのですが」と前置きせざるをえなくなるのは屈辱の極みだ。

諸君。

分子生物学会の会員諸君。

君たちは、2013年神戸年会に一体何を望んでいる?

今までどおりの分生を望むか?

もっと刺激的なイベントにあふれた学会を望むか?

熱血議論の限りを尽くし、三千世界の新発見があふれる、嵐の様な学会を望むか?

「分生」「分生」「分生」

よろしい。ならば分生だ。

我々は、手に入れた研究結果を、今まさに発表せんとする若手研究者だ。

だが、世間から隔絶された実験室で、1年間耐え続けてきた我々に、ただの学会ではもう足りない。

大学会を!

一心不乱の大学会を!

分子生物学会を面白くするために様々な企画案があったようでそれらのいくつかは実現するようです。海外ポスドクの学会参加支援、TEDフォーマットのプレゼン、楽器経験者によるJAZZ演奏、出会いがない若手研究者男女出会いの場のプロデュースなど、真面目な学術集会にイベント性が付加されており、こんな学会なら参加してみたいと思わせる内容です。

しかし一番取り上げて欲しかったデータ捏造論文不正問題への取り組みが現時点ではウェブサイト上に見当たらないのが気になります。12月までにはまだ間があります。分子生物学会が研究不正防止に向かって真正面から取り組んでいることを示す企画を上げてきてほしいものです。

捏造論文を出したラボヘッドたちをパネリストとして招待するとか、分子生物学会の重鎮を集めて「非捏宣言」をしてもらうとか、データ捏造の現場を目撃したことのある人たちによる覆面座談会とか、リアルタイム匿名掲示板による論文不正防止の議論とか、とにかくなんでも良いので、分子生物学会はこの問題を風化させるつもりはないという意思表示をしてもらいたいものです。それなくしては、分子生物学会に明日はありません。

第36回日本分子生物学会年会(年会長:近藤滋)ウェブサイト

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