日本の科学と技術

文部科学省が天下りを斡旋

報道

NHKが入手したのは、文部科学省が元高等教育局長の天下りをあっせんしたことを隠すため、関係者の口裏合わせ用に作成した想定問答の文書です。文部科学省は、今回、元局長の天下りを直接、早稲田大学に打診していましたが、想定問答では、実際とは逆に大学側が受け入れを希望し、かつて大学に在籍した文部科学省のOBが仲介したことにしています。(天下りあっせん 文科省が隠蔽工作 口裏合わせ文書入手 NHK NEWS WEB 1月23日 19時21分

文部科学省は23日、組織的に行われていた再就職あっせんの全容解明に着手した。現役の職員約2000人と、天下り規制が厳しくなった平成21年以降に大学などへ再就職したOB約200人を調査対象とする方針だ。内閣府の再就職等監視委員会の指示で新設した再就職等問題担当室が、3月末までに結果を報告し、違法な天下りの再発防止策を定める。(【文科省天下り斡旋】天下り問題で2千人超調査 3月末までに報告 産経ニュース 2017.1.23 15:11更新

文科省によると、退職後2カ月未満に学校法人に再就職した同省元職員は23年からの5年間で吉田氏を含め42人。このうち、大学の教授や准教授になったのは9人で、うち7人が退職翌日に再就職していた。(【文科省天下り斡旋】退職翌日に再就職14人、過去5年間で 在職中の求職活動横行か 産経ニュース 2017.1.22 20:19更新

国家公務員の再就職を支援する政府の「官民人材交流センター」を利用した文部科学省の職員が、2008年のセンター発足以降、一人もいないことが関係者への取材で分かった。 文科省の天下りには人事課中心の「現職ルート」と人事課OBによる「OBルート」の2系統があったことが政府の再就職等監視委員会の調査で判明しており、センターを使わず省内で再就職をあっせんしていたとみられる。(文科省 再就職紹介、利用ゼロ…独自ルートで天下り 毎日新聞 2017年1月22日 08時30分(最終更新 1月22日 10時53分)

監視委は、文科省が同法違反を免れるために再就職あっせんシステムをつくったと認定したが、男性は「国から言われてやったわけではない」と、自身が退職後に関わったあっせんへの同省の組織的な関与を否定した。(天下りあっせん「人助けだった」 文科省OBが証言朝日新聞デジタル 2017年1月22日03時08分 菅野雄介

文部科学省が国家公務員法に違反し、前局長の早稲田大学への「天下り」を組織的にあっせんした問題で、前局長が早大に再就職する3日前、文科省人事課が同省の関与を早大に口止めしていたことがわかった。当時は内閣府の再就職等監視委員会の調査は始まっておらず、文科省は法律違反を認識しながら、あっせんに関わったとみられる。(前局長再就職直前、文科省が関与隠すよう依頼 早大に Yahoo!Japanニュース/朝日新聞デジタル 1/21(土) 21:28配信)

ある関西の私立大は天下りをめぐって文科省と揉め、補助金をカットされて潰れたなんて噂もあるほど。ウチの事務局長は年収1500万円を超えますが、それで億単位の補助金につながれば安いものでしょう」(次官辞任では終わらない 文科省天下り大学&補助金リスト 2017年01月21日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL @niftyニュース

文科省から天下りを受け入れる理由について、都内の私大の理事は「今の私立大は行政の援助なしに経営が成り立たない。その上、私学への補助金は大学や研究によって重点配分する傾向がでてきている。そのときに文科省のOBがいるかどうかでは大きく違う」と指摘。中部地区の国立大関係者は「各大学は補助金を減らされたり、新学部設置の際などに、文科省の嫌がらせを受けないよう、天下り職員を使い、政府や文科省の意向を探っている」と話す。(大学再就職 5年で49人 文科省天下り問題 東京新聞 TOKYO Web 2017年1月21日 朝刊)

政府の再就職等監視委員会が文科省による職員らの再就職のあっせん行為10件について、国家公務員法違反と認定した。…公務員による他の職員らの再就職あっせんや、利害関係のある企業・団体に対する在職中の求職活動は国家公務員法に違反する。…国家公務員法は07年、官製談合事件などを機に改正され、天下り規制を厳格化した。監視委は、文科省に規制をすり抜ける目的があったと断じた。(文科省天下り 組織的あっせんの解明を急げ 読売新聞 社説 YOMIURI ONLINE 2017年01月21日 06時01分

会見で鎌田学長は、吉田氏を採用した経緯について「高等教育に関する高い知見を有していて、本学の教授にふさわしいと判断し、採用を決定しました。この採用は『再就職の規制に抵触せず、正規の採用手続きが退職後に開始されたものであれば問題ない』という文部科学省の人事課の見解に基づいて進めたものです」と説明しました。(文科省天下りあっせん 再就職の早稲田大教授が辞職 NHK NEWS WEB 1月20日 17時11分)

教育をつかさどる官庁として恥を知るべきだ。…まさか、文科省と私大は利害関係にはないと思ってはいまい。国から多額の助成金が支払われている。【主張】文科省の天下り 大学を役人天国にするな 産経ニュース 2017.1.20 05:02更新

人事課はこのOBに退職予定者らの情報を提供。同省職員が大学との会議や講演などの場で「経営改善に役立つ人材が欲しい」などと非公式に求められた情報もOBに伝え、マッチングを委ねていた。こうした仲介は国家公務員法改正で再就職規制が厳しくなる前の08年末まで人事課が行っており、09年ごろからOBが担うようになった。 (天下り OBがあっせん 文科省、規制逃れる狙い 日本経済新聞 2017/1/21 0:43

文部科学省の幹部らが元幹部の大学への再就職をあっせんしていた問題で、調査に当たった政府の「再就職等監視委員会」は調査結果を公表し、人事課職員が元幹部とともに履歴書を作成して大学に送るなど法律に違反する行為をしていたことや、文部科学省が組織的な天下りを38件行っていたことなどを明らかにしました。(文科省の組織的な天下りは38件 監視委 NHK NEWS WEB 1月20日 18時46分)

文部科学省前局長の早稲田大学への再就職について、内閣府の再就職等監視委員会は20日、同省が国家公務員法に違反し、組織的に「天下り」をあっせんしたとする調査結果を公表した。(天下り問題、前川事務次官も関与 違法10件7人を処分 朝日新聞デジタル 2017年1月20日13時06分

文部科学省が同省の前高等教育局長の早稲田大学への「天下り」を組織的にあっせんした疑いがある問題で、松野博一文科相は19日、前川喜平事務次官や当時の人事課長を含む幹部計7人を懲戒処分とし、前川次官を辞任させる方針を固めた。(文科省、事務次官ら7人懲戒処分へ 天下りあっせん問題 朝日新聞デジタル 2017年1月19日21時41分

文部科学省が元局長の早稲田大への天下りをあっせんした疑いがもたれている問題で、再就職に際し、人事課の職員が大学に元局長の職務経歴に関する書類を送っていたことが、文科省関係者への取材で分かった。国家公務員法は省庁が職員や退職者の情報を企業などに提供することを禁じているが、同省は違反行為を組織的に行っていた疑いがあり、内閣府の再就職等監視委員会が調べている。(文科省、天下りに組織的関与か 人事課から経歴送付 東京新聞 2017年1月19日 朝刊

分析記事、ネット上の反応・個人ブログなど

  1.  【天下り問題】事務次官のクビを一瞬で飛ばした安倍官邸「真の狙い」 震え上がる官僚たち (現代ビジネス 2107.01.23 髙橋 洋一):”官僚が出身省庁に忠誠を尽くすのは、仮に出世競争に敗れても天下りによる給与が保証されているからであった。…「国家公務員法等の一部を改正する法律」では、天下りの斡旋禁止だけではなく、再就職状況を公表するようになった。今回の早稲田大学の件でも、内閣官房のHPで毎年の再就職状況が個人名と再就職先を含めて公開されている(http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/kouhyou_h280920_siryou.pdf)。ここはネタの宝庫であるので、マスコミはこれを活用して、是非とも天下り問題をしっかり解明して欲しい。”
  2. 天下り斡旋は形を変えた贈収賄か (新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ 全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
    政治、経済、社会問題、メディア論などのニュースをえぐる 2017年01月20日):”官庁が天下りを依頼し、大学側などが元官僚を受け入れる行為は、いわば贈収賄罪に相当するケースがあるような気がしてなりません。大学側が教授のポストを官庁側に提供し、その見返りに官庁側には、大学運営の補助金交付などで便宜を図ってもらうという取引きです。ポストを贈る、補助金を受け取るというディールです。補助金のもとは国民の税金です。…早大のホームページには、元局長は「国の高等教育政策の動向の調査研究、文科省の各種事業に関する連絡調整などへの関与をする」と、紹介されています。あからさまな表現です。国から教育行政についての情報をとるばかりでなく、補助金交付で便宜を図ってもらう仕事をしている、とも読めます。 大学側が、ある種の贈収賄行為を告白しているようなものです。”
  3. 早稲田大学文科省官僚天下り問題と学の独立 (ある教育学徒の雑記 脳裏の落書きの保管場所  2017-01-19 ):”今回の天下りをなさった先生が、もし教育学部で教育行政や高等教育に関する授業を積極的に展開し、「天下り笑」などと嘲笑えないくらい気概に溢れ活動なさっているのであれば私はここまで批判しなかっただろう。…しかし、内実は伴わない。言ってしまえば大学当局は「経費」だと思って社会に甘えたわけである。形骸化しているとは言えこの件は「恥」以外の何物でもない。”
  4. 文科省事務官、早稲田大学教授に天下り、そのウラは何? (大槻義彦の叫び、カラ騒ぎ 科学に限らず何でも叫ぶぞ2017/1/19):”もちろん昔から文科省からの天下りの要請は私立大学にはあったのだ。その時にも教授への天下りではなく、事務長、事務局長などへの天下りであった。早稲田大学はこのような事案はすべてお断りしてきた。これまでの早稲田大学の各学部の事務長を検索していただけばよくわかることだ。”

その他

  1. 「天下り受け入れ私大」ワーストは日大・早稲田 (My News Japan 03:45 01/10 2010):”文部科学省の官僚OBが私立大学の「職員」として天下っているケースを独自調査したところ、152大学に計576人が天下っていることがわかった。なかでもワースト1位は日本大学の26人、2位は早稲田大学の24人で、慶應5人、上智3人と比べても突出して多い。いずれも私学助成補助金が114億、92億と多く、事実上、税金が役人の雇用対策に使われている。”

参考

  1. 文部科学省職員及び元職員による再就職等規制違反行為が疑われた事案に関する調査結果について(内閣府 再就職等監視委員会 報道発表資料 平成29年1月20日)
  2. 文部科学省における再就職等規制違反について 平成29年1月20日 文部科学大臣 松野 博一 このたび、1月19日に文部科学省が内閣府再就職等監視委員会の調査を受けて、再就職に関する国家公務員法違反行為があり、国民の皆さまに、文部科学行政に対する信頼を著しく損ねたこと、心よりお詫び申し上げます。 本事案は、一昨年に、当時の高等教育局長が大学に対し、在職中に求職活動を行い、それに関して人事課の職員がその大学に職員の情報を提供するなどの事実があったものです。また、その他にも9件違法と認められる事実があり、さらに、その事実を隠すために再就職等監視委員会に虚偽の報告を行ったものです。

資料

(以下、内閣官房 内閣人事局 国家公務員の人事行政 退職管理・再就職等規制 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_j.html より)

再就職状況の公表等

○国家公務員法等に基づく再就職状況の公表
◇国家公務員法第106条の25第2項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の公表
平成20年12月31日~平成21年3月31日
平成21年4月1日~平成22年3月31日
平成22年4月1日~平成23年3月31日
平成23年4月1日~平成24年3月31日
平成24年4月1日~平成25年3月31日
平成25年4月1日~平成26年3月31日
平成26年4月1日~平成27年3月31日
平成27年4月1日~平成28年3月31日

◇国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の報告
平成21年7月1日~平成21年9月30日
平成21年10月1日~平成21年12月31日
平成22年1月1日~平成22年3月31日
平成22年4月1日~平成22年6月30日
平成22年7月1日~平成22年9月30日
平成22年10月1日~平成22年12月31日
平成23年1月1日~平成23年3月31日
平成23年4月1日~平成23年6月30日
平成23年7月1日~平成23年9月30日
平成23年10月1日~平成23年12月31日
平成24年1月1日~平成24年3月31日
平成24年4月1日~平成24年6月30日
平成24年7月1日~平成24年9月30日
平成24年10月1日~平成24年12月31日
平成25年1月1日~平成25年3月31日
平成25年4月1日~平成25年6月30日
平成25年7月1日~平成25年9月30日
平成25年10月1日~平成25年12月31日
平成26年1月1日~平成26年3月31日
平成26年4月1日~平成26年6月30日
平成26年7月1日~平成26年9月30日
平成26年10月1日~平成26年12月31日
平成27年1月1日~平成27年3月31日
平成27年4月1日~平成27年6月30日
平成27年7月1日~平成27年9月30日
平成27年10月1日~平成27年12月31日
平成28年1月1日~平成28年3月31日
平成28年4月1日~平成28年6月30日
平成28年7月1日~平成28年9月30日

◇自衛隊法第65条の11第6項の規定に基づく自衛隊員の再就職状況の公表
平成27年10月1日~平成28年3月31日

○「公務員制度改革大綱」(平成13年12月25日閣議決定)、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)等に基づく公表
◇特別職国家公務員の再就職状況の公表について
平成20年12月31日~平成21年3月31日
平成21年4月1日~平成22年3月31日
平成22年4月1日~平成23年3月31日
平成23年4月1日~平成24年3月31日
平成24年4月1日~平成25年3月31日
平成25年4月1日~平成26年3月31日
平成26年4月1日~平成27年3月31日
平成27年4月1日~平成28年3月31日

◇独立行政法人等の役員に就いている退職公務員等の状況の公表について
平成28年><平成27年><平成26年> <平成25年> <平成24年> <平成23年> <平成22年> <平成21年> <平成20年> <平成19年> <平成18年> <平成17年>  <平成16年> <平成15年> <平成14年

※以下は、平成19年の改正国家公務員法等の施行前(平成20年12月30日以前)の再就職状況であり、改正法施行後に係るものについては、国家公務員法等に基づく再就職状況として公表されています。

再就職状況の公表(平成20年8月16日~12月30日)

◇「再就職状況の公表」及び「認可法人、公益法人役員への就任に係る報告状況の公表」について
平成20年> <平成19年> <平成18年> <平成17年

◇再就職状況の公表について
平成16年> <平成15年> <平成14年

○その他再就職状況の公表
各府省等からの再就職者が5代以上続いている独立行政法人・特殊法人等・公益法人の役職に関する府省庁によるあっせんの有無等の調査について
各府省等からの再就職者が5代以上続いている独立行政法人・特殊法人等・公益法人の役職に関する府省庁によるあっせんの有無等の再調査
独立行政法人における元国家公務員の嘱託職員ポストの調査
独立行政法人の非人件費ポストに就いている元国家公務員の状況の調査
元国家公務員が就いている独立行政法人及び特殊法人の非人件費ポストについての対応方針
同一府省退職者が3代以上連続して再就職している独立行政法人等におけるポストに関する調査結果等の公表
<【詳細結果】同一府省退職者が3代以上連続して再就職している独立行政法人等におけるポストに関する調査>
<【詳細結果】平成19年から21年における国家公務員の再就職状況>
<【詳細結果】独立行政法人及び公益法人の役員への退職公務員の就任状況等>

(以上、内閣官房 内閣人事局 国家公務員の人事行政 退職管理・再就職等規制 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_j.html より)

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